『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編、壺から現れた奇妙な鬼の声優は?
「刀鍛冶の里編」において、上弦の肆・半天狗と共に刀鍛冶の里を襲撃した、もう一体の上弦の鬼。それは、奇妙な壺から上半身だけを出し、体のあちこちに小さな手が生え、目と口の位置が入れ替わった異形の姿を持つ鬼でした。その名は玉壺(ぎょっこ)。自身を芸術家と称し、歪んだ美学を語る彼の、ねっとりとした耳障りな声は、多くの視聴者に生理的な嫌悪感と強烈なインパクトを与えました。この一度聞いたら忘れられない声の主は、一体誰なのでしょうか。
上弦の伍・玉壺(ぎょっこ)を演じるのは実力派・鳥海浩輔
鬼舞辻無惨配下の精鋭、十二鬼月の中でも上弦の伍に位する鬼・玉壺。この不気味で自己陶酔的なキャラクターの声を担当しているのは、声優界で長きにわたり第一線で活躍を続ける、実力派の鳥海浩輔(とりうみ こうすけ)です。彼の卓越した演技力は、玉壺の持つ異常性と狂気を見事に表現しきっており、原作ファンからも「イメージ通り」「声の気持ち悪さが最高」と絶賛の声が上がりました。鳥海浩輔の怪演なくして、玉壺のキャラクターは完成しなかったでしょう。
鳥海浩輔はどんな声優?色気と狂気を併せ持つ演技が魅力
鳥海浩輔は、その艶のあるセクシーな声質で、数多くの女性向け作品に出演し、絶大な人気を誇る声優です。代表作には『うたの☆プリンスさまっ♪』の愛島セシル役や、『薄桜鬼』の斎藤一役などがあります。その一方で、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のグイード・ミスタ役のような快活な兄貴分から、今回の玉壺のような狂気に満ちた悪役まで、全く異なる役柄を完璧に演じ分けることができる、非常に幅広い表現力を持っています。この色気と狂気の振り幅の広さこそ、鳥海浩輔の最大の魅力なのです。
そもそも玉壺とはどんなキャラクター?歪んだ芸術家
玉壺は上弦の伍の実力を持つ強力な鬼ですが、その本質は「歪んだ芸術家」です。彼は自身の血鬼術で生み出したものを全て「作品」と呼び、その芸術性を理解できない者を激しく見下します。特に、刀鍛冶の里を襲撃した際には、里の人間たちを惨殺し、その死体を壺に詰めて「作品」として披露するなど、その美意識は常人には到底理解できない、残虐非道なものです。極度のナルシストでもあり、自身の肉体や壺の美しさにも絶対の自信を持っています。
玉壺の能力と血鬼術「壺が生み出す多彩な攻撃」
玉壺の戦闘能力は、彼が常に持ち歩いている壺と密接に結びついています。彼は壺から壺へと自在に瞬間移動することができ、神出鬼没な動きで相手を翻弄します。また、壺からは様々なものを生み出すことができます。例えば、毒針を飛ばす金魚のような鬼を大量に召喚する「一万滑空粘魚(いちまんかっくうねんぎょ)」や、巨大なタコの足で相手を締め上げる「蛸壺地獄(たこつぼじごく)」など、その攻撃は多彩です。中でも、相手を水でできた壺に閉じ込めて窒息させる「水獄鉢(すいごくばち)」は、霞柱・時透無一郎をあと一歩のところまで追い詰めました。
鳥海浩輔の真骨頂!玉壺の不気味さとナルシシズムの表現
鳥海浩輔の演技は、玉壺の持つ異常なキャラクター性を完璧に表現していました。ねっとりと絡みつくような喋り方、語尾を「~壺」「ヒョッ」と奇妙に伸ばす独特のイントネーションは、聞いているだけで不安と不快感を掻き立てます。自身の作品を語る時の陶酔しきった声色や、自分の美学を否定されて激昂する時のヒステリックな叫び声は、玉壺の自己中心的で底の浅いナルシシズムを見事に体現していました。この声の演技があったからこそ、玉壺はただの怪物ではなく、強烈な個性を持つ敵キャラクターとして視聴者の記憶に刻まれたのです。
なぜ玉壺役に鳥海浩輔がキャスティングされたのか?
玉壺というキャラクターは、ただ気持ち悪いだけの悪役ではありません。そこには、歪んではいるものの、彼なりの確固たる「美学」と「プライド」が存在します。この複雑な悪役を表現するには、声に色気と狂気、そしてどこか滑稽さを同居させることのできる、高度な演技力が求められます。鳥海浩輔は、その全てを兼ね備えた稀有な声優です。制作陣は、彼の持つ多彩な表現力こそが、この一筋縄ではいかない玉壺という役に命を吹き込むために不可欠だと考えたのでしょう。
霞柱・時透無一郎との激闘!玉壺の真の姿と最後
物語の終盤、玉壺は霞柱・時透無一郎と一対一で対峙します。当初は血鬼術で無一郎を圧倒していた玉壺ですが、過去の記憶を取り戻し覚醒した無一郎の前には、次第に追い詰められていきます。プライドを傷つけられた玉壺は、脱皮して鱗に覆われた竜のような「真の姿」を現しますが、それも時透無一郎の霞の呼吸・漆ノ型「朧(おぼろ)」の前には通用しませんでした。自身の姿すら認識できないまま、あっさりと首を斬られた玉壺は、最期の瞬間まで悪態をつき、小物らしい哀れな最後を遂げました。
玉壺が披露した「作品」とは?彼の歪んだ美意識
玉壺が作中で最も執着していたのが、自身の「作品」作りです。彼は刀鍛冶たちを捕らえ、5人の腕を捻じ曲げて壺に活けるという、常軌を逸した所業を「作品」として時透無一郎に見せつけました。彼にとって、人間の命は自らの芸術センスを披露するための道具に過ぎません。しかし、その作品は無一郎にあっさりと否定され、彼のプライドは大きく傷つけられます。この歪んだ美意識と、それを理解されないことへの怒りこそが、玉壺という鬼を突き動かす原動力だったのです。
鳥海浩輔の怪演が光る!『鬼滅の刃』における玉壺の存在感
玉壺は、上弦の鬼の中では比較的あっさりと倒されたものの、その強烈な個性で視聴者に忘れられない印象を残しました。その最大の功労者は、間違いなく玉壺の声を担当した鳥海浩輔でしょう。彼の見事な「怪演」は、キャラクターの持つ不気味さ、滑稽さ、そして哀れさを完璧に表現しきっていました。『鬼滅の刃』に登場する数多くの敵キャラクターの中でも、玉壺は鳥海浩輔という名優の演技と共に、唯一無二の存在として語り継がれていくに違いありません。