『鬼滅の刃』遊郭編、堕姫の背中から現れた鬼の声優は?
「遊郭編」の戦いが激化する中、音柱・宇髄天元に首を斬られ、追い詰められた上弦の陸・堕姫。彼女が子供のように泣き叫んだその時、その背中から現れた一体の鬼がいました。痩せこけ、あばらが浮き出た不気味な姿。体をボリボリと掻きむしりながら、独特の訛りで話すその鬼こそ、堕姫の兄・妓夫太郎(ぎゅうたろう)でした。彼こそが、上弦の陸の真の力を持つ存在。この強烈なインパクトと共に登場したキャラクターの声は、ある人気声優が演じています。
上弦の陸・妓夫太郎(ぎゅうたろう)を演じるのは逢坂良太
妹・堕姫の体内に潜み、二人で一体の上弦の陸として君臨していた妓夫太郎。この遊郭編における真の強敵の声を担当しているのは、声優の逢坂良太(おおさか りょうた)です。逢坂良太といえば、爽やかな主人公やクールな二枚目役のイメージが強い声優の一人。そのため、彼がこの醜く歪んだ妓夫太郎を演じると知ったファンからは、大きな驚きの声が上がりました。しかし、その演技はまさに圧巻の一言で、彼の役者としての底知れない実力を見せつけました。
逢坂良太はどんな声優?爽やかな役から個性的な役まで
逢坂良太は、その高い演技力で幅広い役柄をこなす、現代の声優界に欠かせない存在です。彼の代表作には、国民的野球アニメ『ダイヤのA』の主人公・沢村栄純役があり、その熱血な演技は多くの視聴者の心を掴みました。また、『ハイキュー!!』の赤葦京治役のような、冷静で頭脳的なキャラクターも得意としています。そんな彼が演じた妓夫太郎は、これまでのキャリアの中でも特に異彩を放つ役柄であり、声優・逢坂良太の新たな一面を切り開いたと言えるでしょう。
そもそも妓夫太郎とはどんなキャラクター?その悲しい過去
妓夫太郎は、自身の醜い容姿に強烈なコンプレックスを抱いています。そのため、音柱・宇髄天元のような恵まれた容姿や才能を持つ人間を激しく憎んでいます。口癖は「いいなぁ、お前は」。その性格は、彼の壮絶な生い立ちに起因します。彼は遊郭の最下層で生まれ、その醜さから母親にさえ疎まれ、常に石を投げつけられるような生活を送ってきました。そんな彼の唯一の誇りであり、人生の光だったのが、美しく生まれた妹の梅(後の堕姫)でした。しかし、その妹も客の侍によって生きたまま焼かれ、絶望の淵に立たされたところを鬼にされたのです。
妓夫太郎の能力と血鬼術「血の鎌がもたらす猛毒」
妓夫太郎の戦闘能力は、妹の堕姫を遥かに凌ぎます。彼の武器は、自身の血から作り出した二本一対の鎌です。この鎌は非常に鋭いだけでなく、致死性の高い猛毒を帯びており、掠り傷一つでも相手の動きを鈍らせ、やがて死に至らしめます。血鬼術も極めて強力で、鎌を振るうことで血の斬撃を広範囲に放つ「跋弧跳梁(ばっこちょうりょう)」や、自身の周囲を無数の血の斬撃で埋め尽くす「円斬旋回・飛び血鎌(えんざんせんかい・とびちがま)」など、柱である宇髄天元ですら防ぎきれないほどの猛威を振るいました。
逢坂良太の真骨頂!妓夫太郎の歪んだコンプレックスの表現
逢坂良太の演技は、妓夫太郎の持つ、心の奥底に渦巻くコンプレックスを見事に表現していました。体を掻きむしりながら「なぁ~」と語尾を奇妙に伸ばす喋り方。恵まれた者への嫉妬と憎悪に満ちた、ねっとりとした声色。そして、妹を傷つけられた時の、全てを破壊し尽くさんばかりの激しい怒り。そのどれもが、妓夫太郎というキャラクターの悲しみと狂気を完璧に体現していました。特に、宇髄天元に対して「お前みてぇな良い男がよぉ」と羨望と憎悪をぶつけるシーンは、逢坂良太の魂の演技が光る、遊郭編屈指の名場面です。
なぜ妓夫太郎役に逢坂良太がキャスティングされたのか?
妓夫太郎は、ただ醜く、残忍なだけの鬼ではありません。その歪んだ性格の裏には、虐げられてきた人生への悲しみと、妹への純粋で深い愛情が存在します。この複雑で多面的なキャラクターを演じるには、声優にも感情の機微を繊細に表現する高い技術力が求められます。逢坂良太は、その卓越した演技力で、妓夫太郎の狂気と悲哀、そして人間らしさを見事に同居させました。彼のキャスティングは、妓夫太郎というキャラクターに深い奥行きを与えるための、最良の選択だったと言えるでしょう。
妹・堕姫との歪んだ兄妹愛と共闘
妓夫太郎の行動原理は、その全てが妹・堕姫のためにあります。彼は自分のことを「取り立て人」と称し、自分たち兄妹から幸福を奪ったこの世の全てから、その分を取り立てようとします。戦闘では、堕姫が敵の攻撃を受け止め、妓夫太郎が猛毒の鎌でとどめを刺すという、完璧な連携を見せます。彼らにとって、互いの存在こそが全てであり、その歪んだ兄妹の絆こそが、二人を「上弦の陸」たらしめる力の源泉でした。
音柱・宇髄天元との激闘!妓夫太郎と堕姫の最後
物語の終盤、妓夫太郎と堕姫は、鬼殺隊と壮絶な死闘を繰り広げます。妓夫太郎は宇髄天元を毒で追い詰め、一時は勝利を確信しますが、炭治郎たちの決死の覚悟と見事な連携の前に、ついに敗北。妹と同時に首を斬り落とされます。消えゆく意識の中、二人は互いのせいだと罵り合いますが、最期は人間だった頃の記憶を思い出し、妓夫太郎は堕姫を背負い、「ずっと一緒だ」と誓いながら、二人で共に地獄の炎の中へと歩んでいくのでした。
逢坂良太の名演が光る!遊郭編の「真の主役」妓夫太郎の魅力
妓夫太郎は、その醜い容姿や残忍な性格とは裏腹に、その悲しい過去と妹への一途な愛情によって、多くの視聴者の心を打ちました。彼が遊郭編における「真の主役」とまで言われるのは、逢坂良太の心を揺さぶる名演があったからに他なりません。彼の声は、妓夫太郎の人生そのものでした。逢坂良太という類まれな才能を持つ役者の熱演によって、妓夫太郎は『鬼滅の刃』という作品を代表する、最も人間臭く、最も悲しい鬼として、ファンの記憶に永遠に刻み込まれたのです。